椿の秘密

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「違うわ。映画が正解よ。…そうね……相手が吐き出す呼吸も唾液も全て飲み込むような…それが本当の恋人同士のキスよ」  椿が絶句している。目を見開いたまま、固まってしまった。  庸介は微笑むと、椿の唇に触れた。やはり、柔らかかった。 「斉木ちゃんとそんなキスが出来るといいわね。さ、寝ましょう」  庸介は椿に背中を向けた。これ以上近くに椿を感じると、本当に箍が外れそうな気がした。背中から意識をそらした。 「あやめさん……その…練習を……させてもらえませんか?……映画のようなキスなんて…想像できません」  庸介はあまりの驚きに、椿の方へ振り向いてしまった。椿の瞳は真剣だ。半分、泣きそうな顔をしている。  その表情に、思わず抱きしめてしまった。  庸介は困り果ててしまった。
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