ストーカー椿は、斉木とニアミスする

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ストーカー椿は、斉木とニアミスする

 いつもと違う香りに、爽やかな目覚めだった。柑橘系の香りがする。  ここは…そうだ、あやめさんのお家だ。  目を開けると、隣に庸介はいなかった。起き上がりスリッパを履くと、日本とは違うハーブの匂い…食事の匂いのするリビングへ向かった。 「椿、シンチャオ!」  髪を後ろに一つに縛って、庸介がキッチンに立っていた。 「…シンチャオ?……あっ!あやめさん、シンチャオ!」  意味を理解して慌てて返す椿に笑いかけた。 「シンチャオは知ってるのね?」 「はい!少し勉強してきました」  シンチャオはベトナムでの挨拶だった。おはようもこんにちはもおやすみも、みんなこれ一つで済む。
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