想いの伝え方(一)

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「しばらく構ってやれてなかったからな。多少は、自分で慰めたか?」 「し、してませ……っ」 それができなかったから今こんな状態なのだと、芹は視線で槐に訴えかけた。 「俺がいつもしているようにすればいい。簡単だろう」 「簡単なんかじゃ……」 「教えてやろうか?」 「そんな……っ、あ、あ」 着物を割って、槐の手が侵入してくる。大きな手に包み込まれただけで、声を抑えることができず、芹は甘い鳴き声を漏らした。 「んっ、ん、や……ぁ」 先端から滲み出す蜜を塗り付けるようにして動く手が、快感を煽る。彼の手が上下する度に濡れた音が立つのが恥ずかしい。 「こうして刺激してやれば、ひとりで達することも難しくはないだろう?」 芹は訳が分からなくなりながらも、首を左右に振った。 「槐だから……っ、槐じゃないと、無理……」 頭上で、槐が息を吐いたのが分かった。人ならざる存在の彼は、吐息すらも官能的な色香を放つ。 「まったく、無意識というのは恐ろしいな」 「あ、んっ、も……で、るっ」 「──忘れるなよ。自分が、誰のものなのか」 「ふ、ぇ……? あ、ああ──っ」 言われたことの意味を考える暇もなく高みに追いやられ、芹は欲を弾けさせた。
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