スクールライフ(七)

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 学校と一口に言っても、校舎だけが学校ではない。あやかしの気配を探ればたどり着けないこともないが、省ける手間は省いた方がいい。 「分かった。もしそちらに着信があった場合には、校舎と渡り廊下で繋がっている建物だと伝えておいてくれると──」  助かる、と柊が言い終える前に、携帯が柊の手から離れた。柊の携帯を耳に当て、男が言う。 「蛍、場所は分かった。何かあればこちらからまた連絡する」  通話を終了させてから、彼は柊に携帯を戻した。髪も瞳も普段の色とは違っていたが、それが彼の対人間用の装いであることを柊は知っていた。 「槐……」 「遅くなって悪かった。──この中だな?」 「あ、ああ」  場所が学校ということだったので、来るのは茅萱かと思っていた。しかし考えてみれば、芹が危険に晒されているというこの状況で槐が動かないはずがない。  羽賀もまた、手を止めて槐の方を見た。人の姿をしていようと、今の槐は全くあやかしであることを隠そうとはしていない。普通の人には分からないだろうが、目の前の男が人ではないということは、あやかしなら一目で解るはずだった。 「なるほど、あやかし避けの網か」  槐は扉の前に立つと、軽く指先で結界に触れた。指を焼くようにぶわっと炎が立ったが、動じた様子はない。
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