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この神社の御神木が黄金に輝き出したのは、そろそろ日も昇ろうかという薄闇の中でのことだった。
参道から赤い鳥居まで届くような輝きは本殿や他の社をも照らし、無視できないほど眩しいから様子を見に出てきてみればこの神様がいたというわけだ。
「私は神ではない」
「今あたしの心読みましたね」
「その程度珍しくもなかろう。
──が、まあ、これも導きというものか……。
あー、女、少し待て」
立ち去ろうとしていないあたしに待てと言って、神様は── 一応は本人の否定を尊重しよう ──神様もどきは、ふわりと御神木から降りてきた。
太い注連縄を巻かれた巨木の、頭を目一杯倒さなければいけないほどの高さから、飛び降りた姿は何の危なげもなく地面に降り立つ。
よく見ると両足が少し地面から浮いていた。
あまり近寄られると眩しすぎる。
「光りながら降臨する神様なんですね?」
「いつもではない、日によって時々……いや、
だから私は神ではないぞ。
そんなことよりだな、ひとつ、案内を頼みたい」
「案内?」
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