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観察していると、確かに高梨は、教室の中心からはずれて、静かにしている。あんまりクラスに馴染んでいないみたいに思えて、気になった。なんであんなにさみしそうなんだろう。
昼休み、気づけば教室に高梨の姿はなかった。資料室に行けば、また話せるんじゃないか。
そう思って、行ってみると、やっぱりいて、また“守護天使リク”を読んでいる。
「相当好きなんだなぁ」
俺も、小さいときは好きだった。よく読んだ、大好きな漫画だった。
母さんは元々漫画家で、俺をモデルに、リクという天使のキャラクターを描いた。
正しくは、俺が成長した姿を想像して、リクを描いていた。
毎晩、絵本替わりにその漫画を読み聞かせしてもらった。
「きっと波流が大きくなったら、リクみたいになるよ」とか言って。
それが、呪いみたいに、俺はリクそっくりに成長した。ただし、性格はあんまり似ていない。天使みたいに、いつでも人助けのできる優しいやつになんて、人間の俺がなれるわけがない。
最初は、俺に読み聞かせるためだった“守護天使リク”の漫画が、最近になって話題になって、出版することになり、人気シリーズとして世間にも知られるようになった。
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