天使にそうぐう

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 学校で唯一、私が自分に戻れる場所、資料室。  今日も朝、教室に行く前に立ち寄る。  朝日がきらきらと窓から入って来る中で、すうっと深呼吸して、棚の間に隠した漫画を取り出した。  ”守護天使リク”。  大好きな天使が出て来る漫画。  小学生用の漫画だけど、私は中学生になった今でも大好き。  主人公は、かっこいい守護天使、リク。リクは、きれいに整った顔をしていて、鼻がすっとして、目はくりっとしている。茶色のふわっとした髪もポイント。白くて大きな羽を持っている。  そのリクっていう天使が、いつも困っている人を守ってくれるストーリ。  リクは優しくて、強くてかっこよくて、いつもピンチを救ってくれる。そんな姿に、とっても憧れていた。  私の目の前にも、リクみたいな天使が現れてくれたらいいのに。  そんなあり得ないことを考えて、ぼうっと夢の世界に行っていたら、資料室の扉が開いた。  誰かが入って来る。 「誰?」  廊下の窓から日の光が入って来て、目を細める。  まぶしくて、シルエットしか見えない。顔がよく分からないかった。  資料室に入って来る人なんてめったにいないのに、いったい誰だろう。慌てて目をこする。  やっと明るさに目が慣れてきて、部屋に入って来た人の顔が見えた。  きれいに整っていて、すっとした鼻に、くりっとした目。茶色っぽいふわっとした髪。 「て、て、て」  言葉が出てこない。きょとんとその人は首をかしげる。  私は、やっとのことで口にした。 「……天使」  漫画に出て来る、”守護天使リク”に、その人はそっくりだった。
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