第三部

46/67
前へ
/168ページ
次へ
二人はまだ結ばれてはいないが、以前、ルームフレグランスで芳香が暴走して以来、大胆な愛撫を施し合っている。 芳香はもういつでも抱かれたいと望むが、薫樹の方が納得しない。こだわりの強い彼はきっと今日も芳香を抱かないだろう。 ショーツを剥ぎ取り、薫樹は芳香の膝裏を持ち、そっと開脚して茂みに鼻先をうずめる。 「う、う、は、恥ずか、しい」 恥ずかしさと興奮と快楽で芳香はすでに秘所を濡らしている。 匂いを嗅がれ、鼻先で花芽を弄ばれ、舌を這わされる。 「うぁぅう、あっ、ああん」 「ああ、いい香りだ」 「わ、私も、し、げきさんの、匂わせて……」 「ああ……」 ソファーから芳香を抱いて寝室に移る。 全裸になって貪るようなキスをした後、薫樹は身体の向きを変える。 芳香の秘裂に舌を這わせ、捻じ込む。親指で花芽を回転させると、芳香は腰を浮かせにじりだす。 「あ、あ、あっ、や、も、もう、来ちゃう、ん」 「ああ、僕もだ」 芳香は快感の中、夢中で薫樹のものを口に含み、しゃぶり続けている。 「し、げき、さあん、お願い、抱いて。もう、もうあたし」 「ごめん、今の仕事が終わるまで、待ってほしい。――ちゃんと抱きたいから」 「ああんっ、あんっ、や、いっ、くっぅ――」 わななきながら芳香は身震いをする。薫樹も彼女の口淫に精をこぼす。 「うっ――」 「あうぅ、薫樹さんっ、のいい、匂い――」 うっとりとした表情の芳香を見ると薫樹は乏しい征服欲を満たされる気がする。 「君は、嫌じゃないのか。――普通の女性は嫌らしいよ」 口元を清拭しながら薫樹は芳香の髪を撫で尋ねる。短い息をしながら芳香は「わ、わかりません」と答え恥ずかしそうに目を伏せた。 ベッドで香りと快感を愉しんだ後、芳香の腹が空腹で鳴るまで、抱き合っていた。
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!

547人が本棚に入れています
本棚に追加