547人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうして、同じミントなのにあなたの作品がとびぬけたの?」
「当時はね。みんなミントの表面の香りにしか注目してなかったんだよ。みんな口の中をさっぱりさせて、口臭をごまかそうとするだけだった。
――俺はミントを道具にしたくなかった。ミントがメインになる様に、味わいと爽快感。そしてリフレッシュとリラックスを感じられる調香を施したんだ。ただ、これじゃあ清涼飲料水みたいに飲んでしまいそうだということで、味わいを変更する羽目になったけどね」
「へえ。追及すると奥が深いのね」
まるで興味がないという表情をしていたTAMAKIが、今、涼介の話を少女のような目をして聞き入る。
「環さん。俺は――君ももっと追及したい」
一瞬の間の後、環は頷いて「シャワーを貸してもらえる?」と席を立った。
最初のコメントを投稿しよう!