第三部

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「あれ? 兵部さんも帰るんですか? ゆっくりすればいいのに」 「ん。 これから芳香の仕事ぶりをゆっくり眺めるんだ」 「は、はあ。相変わらずですねえ」 「薫樹も幸せそうで嬉しいわ」 「ありがとう。環は綺麗になってるな。清水君のおかげだろう」 「え? 前から綺麗でしょう。はははっ」 「ああ、そう言われるとそうだな」 薫樹には10年前の環よりも今の、涼介と結ばれてからの彼女の方が美しいと感じていた。そしてこれからますます美しくなるのだろうと予感している。 ――数十年、仲良く幸せに過ごした後、先に涼介が逝き、環は『ミントの女王』と呼ばれその生涯を閉じた。
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