第四部

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「いやっ、もう、もう、お願い。抱いて……欲しい」 「そうだな……」 哀願する芳香をにもう一度キスをする。薫樹は硬くなったそこをぐっと芳香の蜜口に突き立てる。 「んんっ」 「痛い?」 抵抗を感じ、薫樹は動きを止めたが、芳香はふるふると顔を左右に振り、「も、もっと、お願いです。奥まで……」と挿入をせがむ。 薫樹は少し力を込めて内部へ突き入れた。 「あああっうっぅう」 「んっ。全て、君の中にはいったよ」 紅潮させ汗をにじませた芳香は嬉しそうに「や、やっと……」と呟いた。 「ああ……気持ちいいものだな。知らなかった」 「あ、わ、私も、すごく、気持ちいいです」 「辛くない?」 喘ぎ喘ぎ言う芳香の髪を撫で薫樹は頬にキスをする。 「今まで、あ、ん、時間、かけて、くれて、たっ、から、辛く、ないです」 「そうか」 口づけを交わしながら腰を動かすと快感が増してくる。 「うんむっぅ、ふっ、あ、あああん」 「芳香、芳香――可愛いよ」 「あ、ん、薫樹、さん、あっ、す、好きっ」 初めてなのに強い快感と興奮が芳香に腰を振らせる。 「ああ、淫靡だ――」 「あん、あんっ、ああんっ」 中途半端に脱いだ服が邪魔になり、全部脱ぎ去った。狭い部屋で、寝具もないコットンのラグの上で二人は交わる。 薫樹は芳香の香りと肌と快感に溺れまいと力強くくびれた腰を持ち、前後に動き、突き入れるが、快感が増すほどに彼女のムスクの香りが強まりくらくらする。 「ああ、素晴らしい香りだ」 「あ、あ、も、き、もちよくて、わかん、ないっ」 くらくらしながら薫樹は芳香の花芽をいじるとビクンとした振動が伝わる。唇を噛んで声を出さまいとしていた芳香が「くううっ」と呻き脱力した。 「ああ、い、クっ――」 芳香の身体になだれ込む様に薫樹は倒れ、頬と頬をすり合わせ、耳元で囁く。 「芳香。愛してる」 混じりあった芳香と愛の言葉で満たされたこの狭い部屋を最高のスィートルームのように感じた。
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