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「あっ、んっ」
びくんと身体を跳ねさせ芳香は高い声をあげる。直接嗅ぐのをやめ薫樹は指先に香りを移そうと柔らかな花弁を波打たせ、やがて蜜源に到着する。一枚一枚めくる様に開くとすでに溢れんばかりの蜜が滴っていて指先を濡らした。(天然麝香を手に入れたぞ)
もっと多くの蜜を手に入れるべく、ゆっくりと中指を内部に差し入れる。
「あ、つぅ」
「ん? どうした?」
「な、なんか、苦しくて……」
初めて受けいれるのが一本の指であろうと芳香には辛いのかもしれない。ふっと麝香の香りが弱くなる気がした。
「ごめん。せっかちだったな」
「あ、いえ……」
潤んだ瞳と紅潮した頬が薫樹に香り以外の刺激を与える。ゆっくり指を抜き、濡れた指先を芳香の目の前に差し出す。
「君の香料だ」
「やっ、やだっ! へ、変態っ!」
目を吊り上げののしる芳香に薫樹は唸った。
「うーん。変態か……」
薫樹が考え込み始めると芳香は身体をさっと起こし、椅子に掛かっていたバスタオルを取り身体に巻き付け始める。
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