第二部

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芳香が身体を拭いていると、薫樹がやってきた。 「ああ、もう出るのか。一緒に入ろうかと思たんだが」 「あ、彼女、帰ったんですか?」 「うん、待たせて悪かった」 「いえ、仕事ならしょうがないですよね」 「ん。――冷えるといけないから早く服を着たほうがいい」 「そうします」 芳香はバスタオル一枚の半裸なのに薫樹は特に気にするふうでもなく、シャツのボタンを外し始める。 恋人同士でもまだ付き合いが浅いのだから裸を気にしたりはしないのだろうかと思いながら芳香は言われたとおりにパジャマを着る。 男だからなのか薫樹は恥じらうこともなくすっかりヌードになり浴室へ入っていった。 長身で細身の背中がまるで白い蛇のような怪しさを感じさせる。初めてのベッドで彼の身体が芳香の身体の上を這うように滑らかに動いたことを思い出す。 「見ちゃうと恥ずかしいな」 挙動不審になりながら芳香は浴室を後にした。
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