第二部

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「ちっ、鬱陶しいな」 「え? なんか言ったか?」 「ううんーなにもー」 ムカムカし始めた真菜は足元に落ちていた小枝を拾い、ベンチの後ろの隙間のから彼氏の尻に枝を差してやる。 「いってええっっ! なんだっ! なんだ?」 立ち上がりキョロキョロとあたりを見まわす彼を見てほくそ笑んで知らんぷりをした。痛がる顔を見て少し興奮する。 イメージが違うということで別れてきた男たちにこっそり肉体的に痛みを与えて悦に入っていた。 そうやって過ごす高校生活はあっという間に終わり、受験も無事終わって地元の大学に入学した。 もう制服はないのでイメージを勝手にもたれることが無くなりほっとする。しばらく男はいいやと思い、女友達と行動することが多くなった。 ある時おしゃべりに花を咲かせていると、誰かが「あたしはどMだから~」と言い始め、それに他の友人たちも賛同し、次々「あたしもなんだー」と言い始めた。真菜は自分にはMの感覚はなかったので黙って聞いていたが、皆の話を聞くうちにどうやらS側だということを自覚する。 「この前さあ、彼氏にちょっと縛っていいかって言われちゃってさあー」 「ええー、SMじゃーん」 「ソフトならいいよねえー」 男の目を気にしないセックスの話はどんどん過激になっていく。共感を得たのは友人の彼氏の感覚だった。 「彼氏がどSでさあー、泣かせようとするんだよねえー」 「やっだー、イジワルゥー」 泣き顔を見ると興奮するという話にふと和也の顔が浮かぶ。あれは『萌え』なのかなと真菜は一人回想に耽っていた。
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