第二部

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また夫婦は芳香の恋人の兵部薫樹のことも知っている。なぜなら、薫樹がわざわざ「フィアンセをよろしくお願いします」とあいさつに来たからだ。 芳香も小田夫婦もその挨拶に驚いたが、薫樹は好印象だった。そのあとしばらく夫婦に芳香は冷やかされることになる。 小さなポットに入ったバジルを眺める。まだ小さい苗だが葉はツヤツヤとして芳しい香りを放っている。 先月、木綿子の手作りであるバジルソースをもらった。夏から秋にかけて収穫ができるバジルはいつもソースにして冷凍保存しておくらしい。店で売っているジェノベーゼと違い、木綿子のバジルソースには松の実もニンニクなども入っていなかったが、香りが高く濃厚だ。 そのソースを使って薫樹にバジルパスタを振舞うととても喜んで食べた。 「私ももっとハーブでお料理作ってみたいなあ」 今度は薫樹と一緒にお手製のフレッシュミントティーを飲ませてあげたいと思いながらハーブの世話をしていると、さっきまでの不安感がいつの間にか消えていた。
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