第二部

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街中を30分も走らせると建物もまばらになり自然の景色が増えてきた。少し窓を開け風を入れると気持ちよさそうに薫樹が目を細める。 「芳香は運転が上手いな」 「んー、慣れですかね。うち、実家がこれくらいの田舎なので車必須なんですよ。免許とったらよく運転させられて」 「ふーむ。君はなんでも出来るんだな」 「え? なんでもって」 「出来ないことがないだろう。僕は調香する以外何も得手がないからね」 「えっ、そ、そんな。こんなの普通にみんなできることで、薫樹さんは誰にもできないこと出来てるんだから、全然違いますよ」 「フッ、謙虚だな」 「え、け、謙虚というわけじゃ……」 誰しもあこがれの的である薫樹に褒められ、芳香は戸惑うが本心からの肯定に嬉しくもある。 そして初めて助手席に乗る恋人の端正な横顔を眺め、恋愛中の喜びを噛みしめるのだった。
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