第二部

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ほんのりと薄暗い寝室に入る。特に何をするわけでもなく広いベッドに潜り込んだ。 シーツは白く清潔で洗濯したての日向の香りがする。掛け布団は薄くフラットなのに手触りがよく温かい。 「うーん、すべすべしてる。シルクの寝具ってつるっつるだなあ」 初めて薫樹の寝具を見たときに布団の薄さが気になったが、眠ってみて温かさは重さではないのだと知った。 「これから……ここで……」 横たわり落ち着かずシーツを撫でていると、薫樹がそっと寝室の入ってきた。 すっとベッドに腰かける。 「芳香。寝てる?」 芳香は身体を起こし「いえ……」と言葉少なに答えた。 薫樹は芳香のボブの髪をそっと耳に掛け、頬に触れ唇を重ねてくる。ゆっくり時間をかけ、唇の温もりを確認したのち、またゆるゆると舌が唇を舐め、濡らし、そっと内部へ忍び込む。 優しく甘い口づけを交わしながら薫樹は芳香を横たわらせる。 芳香がはっと気づくと薫樹はすでに裸体を晒している。ぼんやりとした照明の下で薫樹の白い肌と眼鏡が光る。 薫樹は芳香のパジャマのボタンを一つ一つ外す。その下にはしっかりとブラジャーをつけていた。 背中のホックに手を掛けられたとき、芳香はぎゅっと目をつぶる。小さい膨らみを見られることが恥ずかしい。 「寒くない?」 上半身を脱がせてしまうと薫樹は気遣うように尋ねる。 「は、はい。寒くないです」 緊張と興奮で温度など芳香には分らなかった。パジャマのズボンとショーツをおろされた時には心臓の音しか分からなかった。 薫樹に服を脱がされただけで、やけに興奮し身体の内部が熱くなってくる。 肌と肌が重なり合う。薫樹の滑らかな肌が、汗ばみしっとりした芳香の肌を這う。 口づけと肌を触る大きな手の感触にいつもはリラックスすることもあるが、今日は違う。 両手で薫樹は両乳房を包み込み、揉みしだく。 彼は以前芳香が言ったように上から順番に下へ降りてくるようだ。
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