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キッチンでは薫り高いミントティーが薫樹を待っていた。
「どうぞ、あったかいうちに」
「いただきます」
「芳香ちゃんが持ってきてたミントを乾燥させて淹れてみましたよ」
「そうなのか。フレッシュとはまた違った味わいだ」
以前、芳香が持ってきていた大量のスペアミントは涼介が持ち帰り、ドライハーブにしていた。
「長持ちしますしね。これはこれでいいものですよ」
二人はいつの間にか仕事関係を超えている。薫樹にとっても涼介のように人懐っこい男は初めてだが不愉快ではない。
女性なら薫樹に対して親しく接するのは恋愛関係を想定してのことであるが、男の涼介には勿論ない。利益を得ようとすることなく接してくる涼介に好感を得ている。学生時代に友人はいたが、各々研究と追及が主にやることであり、このように日常会話を交わすような交流は皆無だったような気がする。
「本当に君はミントのようだな。ミント王子という名は伊達じゃない」
「なんですか。いきなり。はははっ」
薫樹も芳香と同様に人と親密な関係を構築している最中であった。
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