7、ぼくのおねいちゃん改

3/5
前へ
/17ページ
次へ
先生が僕たちを呼んだ。名前の順に二列に並んで、一人一つ持って、急ぐよー、なんて言ってる。前の人から小さな作り物のミニブーケをもらった。黄色の花。先生は真面目な顔をしている。前が進むからそれにつられて教室を出る。卒業生が見えたら拍手を忘れないようにー、自分の前を通るときにそのお花を優しく上に投げてあげましょうー、と声が聞こえた。こんなにバタバタするなら見送りなんてやらなきゃいいのに。廊下にはすでに他のクラスの子たちがズラリと並んでいた。まだかなぁ、先輩に会うのドキドキする、サッカー部にかっこいい人いるんだよ、とコソコソ話す声が聞こえる。あのねぇ、お姉ちゃんから聞いたんだけど、この花を卒業する好きな人に渡すと、ずっと覚えていてもらえるんだってぇ。と続けて聞こえたとき、遠くから拍手の音と「おめでとう!」と大きな声が響いてきた。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加