10月

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灯歌は男でも女でも同じように話すし話しかけるなオーラとか全くないヤツだから楽だった。他の女子みたいにカゲでコソコソしたりしないし、クラスのどっかで起こってるイザコザにも流されたり巻き込まれたりしない。それが例えばこいつとか東雲とか、自分にとって大事なモンだったら飛び込んでいくかもしれないけど。 俺らが野球とかサッカーとかしてると普通にまざってくるし、たぶん、あいつが目の前で着替えを始めても男どもは喜んだりしなさそうだ。たぶん、だけど。 そんなさっぱりした性格と行動をしてるくせに、実は可愛いモノに目がない。本人はよく「どうせ似合わない」とか「ガラじゃない」とか言ってるけど、女子が好きそうなヤツを実は一番好きで本当は触りたくてウズウズしてるのを必死で隠そうとしている。てか、俺に言わせれば我慢できてねぇけど。たぶん、こいつらもその辺はわかってると思う。俺なんかより一緒にいるしな。 だから、すぐにわかった。 灯歌は典型的な少女漫画に出てくるような「ステキな恋」ていうのに憧れてるだけなんだって。たぶん、夢見てるんだろうなって。アイドルにきゃーきゃー言ってるヤツらと一緒だって。 だって、いくつ離れてるんだよ。相手が大人だって聞いた時は尚更だ。たぶんそいつは灯歌が憧れている夢みたいな恋を叶えてくれる野郎なんだ。 「さっき見かけたよ」 『何を?』 「灯歌が男と歩いてる所。体育館で一緒にいたのとは違うヤツだった。あいつじゃなかった」     
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