10月

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体育館の男みたいな、誰からみてもわかりやすいイケメンてタイプには見えなかった。むしろパッと見た時、思わずこっちが身構えてしまうようなとっつきにくそうなヤツだなって思った。灯歌とは正反対。そう、真逆のタイプ。 だけど灯歌が話しかけると、バカの上にバカがつくくらいバカ正直な灯歌が隣りで笑うと、その男も笑うのが見えた。しかも、会話の途中、灯歌があっちを向いた時、その男は笑うんだ。灯歌に隠れて笑うんだ。 それを見て俺は泣くかと思った。 マジかよって。 孫灯歌はマジ、すげぇ。 あんな大人の男をあんな顔にさせるんだから。 悔しいから絶対本人には言ってやんないけど。 そしてようやくわかったんだ。 ああいう所が俺は好きだったって。 頭を抱える振りをして目の前のカエルと牛、それからこいつに顔が見えないようにする。それでも口元が緩む。隠せないのならいっそのこと。 「かっこわりぃな、俺」 『大丈夫だよ、和泉君』 ふと、重みを感じた左肘を見るとカエルが俺の肘にかじりついていた。そして、 『和泉君のかっこいい所なんて、ボク一度も見たことないよ』 「お前なぁ~、そこはそんなことないよとか言えよ」 思わずカエルにノリツッコミをしてしまった。てか、俺もマジに返してどうすんだよ。そう思うと笑えてきた。どうせ俺は灯歌より年上でもなければかっこよくもねぇよ。そう思うともっと笑えてきた。 『大丈夫だよ、和泉君』     
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