4人が本棚に入れています
本棚に追加
「はいはい、どうせ俺はかっこ悪いですよ。どうもすみませんね」
『和泉君はこれからじゃん。今はかっこ悪いかもしれないけど、これからかっこいい大人になる可能性はたくさんあるよ』
そう言ってカエルが両手を広げた。
『ボクには見えるよ。和泉君はかっこいい大人になる』
「何だ、それ」
『知らないの?ボクの占い、よく当たるって有名なんだよ』
「占いなのか、それ?」
『まぁまぁ、細かいことは言いっこなしだよ』
そう言って、カエルと牛は仲良く寄り添って俺に向かって口を開けた。
「なんだそれ」
だけど今度は素直に笑うことができた。
「そろそろ行くわ。なんか汗ひいて冷えてきた」
俺が立ち上がるとカエルと牛、それからもう一人分の黒い目が俺を追いかけてきた。俺はカエルと牛の頭を順番に手のひらで撫でながら言った。
「ありがとな、さくら」
「え?」
不意打ち、という色の一言がその口からもれたのが聞こえた。それから俺と目が合うと慌ててカエルと牛で口を隠した。聞こえたっつーの。
「何だよ、自分の名前忘れたのかよ。それとも何か?お前の名前を呼んじゃいけないって言う法律でもできたのか?」
『そういう所が和泉君、残念だよね』
「何だよ、いいじゃねぇか」
最初のコメントを投稿しよう!