10月

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「はいはい、どうせ俺はかっこ悪いですよ。どうもすみませんね」 『和泉君はこれからじゃん。今はかっこ悪いかもしれないけど、これからかっこいい大人になる可能性はたくさんあるよ』 そう言ってカエルが両手を広げた。 『ボクには見えるよ。和泉君はかっこいい大人になる』 「何だ、それ」 『知らないの?ボクの占い、よく当たるって有名なんだよ』 「占いなのか、それ?」 『まぁまぁ、細かいことは言いっこなしだよ』 そう言って、カエルと牛は仲良く寄り添って俺に向かって口を開けた。 「なんだそれ」 だけど今度は素直に笑うことができた。 「そろそろ行くわ。なんか汗ひいて冷えてきた」 俺が立ち上がるとカエルと牛、それからもう一人分の黒い目が俺を追いかけてきた。俺はカエルと牛の頭を順番に手のひらで撫でながら言った。 「ありがとな、さくら」 「え?」 不意打ち、という色の一言がその口からもれたのが聞こえた。それから俺と目が合うと慌ててカエルと牛で口を隠した。聞こえたっつーの。 「何だよ、自分の名前忘れたのかよ。それとも何か?お前の名前を呼んじゃいけないって言う法律でもできたのか?」 『そういう所が和泉君、残念だよね』 「何だよ、いいじゃねぇか」     
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