わたしには彼を夫と呼ぶ資格なんて無い

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「若気の至りだなぁ」  わたしたちが目指す次の目的地は、富岩(ふがん)運河環水公園――通称、環水公園。  小運河の流れる大きな公園で、世界一美しいとされるスタバがあったり、橋の両端の塔を結ぶ「赤い糸電話」があったりと、まさに、ザ・デートスポットって感じの施設なのだとか。 「確かにべただけど、楽しみだなぁ――っと」  潮風が一際強く流れ込んできて、せっかく整えた髪が乱れてしまわないように、手で押さえる。  それを見て、彼が優しく微笑んだ。 「髪、長くなったね」 「変かな?」 「……ううん。似合ってる」  そう言った彼の横顔は、いつもの優しい笑顔だった。  だけど少しだけ――  辛そうでもあった。  *** 「ついたよ」  平日ということもあって、公園の駐車場は空いていた。  こんなに空いてるんだからどこでもいいのに、きっちり隅に駐車する彼。こういうところも、地味に好きなんだよね。  車から降りて、二人で公園の中に。するとそこは―― (うわぁ……)  想像していたよりも、素敵なところだった。     
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