無能な狩人

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宇宙のはるか彼方のある星に一人の狩人がいた。狩人というが、今まで一匹の獲物も捕らえたことがない。しかしこの男は親の金を使って道楽で狩人をやっているだけなので、真剣に努力する気は全くなかった。獲物が捕れないと直ぐに鉄砲のせいにして、親の金を使って最新の銃を直ぐに買うのである。 彼は今日も軍人が使うような狙撃銃を持って狩りに来たのだが、大きな獲物どころか小さな鳥さえ撃てずに銃を乱射しまくった。 彼が乱射した内の一つが星の重力を抜けて宇宙空間へと飛んで行ったが、彼は気にも留めなかった。 その弾はそれから宇宙空間を100年飛び続けて行った。その間に周りのチリを吸い寄せて一回り大きくなる。それから1000年飛び続けて、その間に周りの砂を引き寄せて拳くらいの大きさになる。それから5000年飛び続けて、その間に周りの石を引き寄せて直径は1メートルを超えた。それから1億年ほど飛び続けて、色々と引き寄せてとうとう弾は小惑星ほどの大きさになっていた。それが地球に墜落して、恐竜たちはみんな絶滅してしまった。 そんな事になるとは知らずに男は今日も狩りを楽しんでいる。
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