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プロポーズ
あ目覚ましの音ではなく、自然に目が覚めた。
ベッドには一人分の体温しか残っていなくて、彼女はすでに起きているのだなと薄ぼんやりと認識する。
外からは鳥の鳴き声が聞こえるのに、家の中は妙に焦げ臭い。
まあこんなのは日常茶飯事で、今更どうこう言うつもりはないんだけど。
軽く伸びをすると欠伸が一つ漏れて、平和だなぁと思えた。
「おはよう…ってもう!服くらいちゃんと着なさいよばかぁ!」
「ズボンはちゃんと穿いてるからいいだろ、少なくとも酔っ払ったときの君よりはマシだ」
「なっ…あ、あれは不可抗力みたいなもんだし!自分の意思じゃないし!」
「朝から意味わかんないこと言わないでよ」
テーブルにはいつも通り、見事なまでに黒焦げの料理が並べられていた。
焼きすぎて硬くなった卵と黒くパリパリになったベーコン。
ちぎっただけのレタスに白いご飯。インスタントの味噌汁。
まあ、最初の二つはともかく。米が原型を留めているから最初の頃よりは上手くなっていると言うべきか。
どうにも形容しがたいが、多分、きっと、進歩はしているのだろう。
「いただきます」
そう口にして味噌汁を1口。
うん、いつも通り。
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