『サッカーの神さま』

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さいしょは、よくわからなかったけど、半年もすると、自分でもうまくなったと思えるようになった。     三、 0―0のまま、後半にとつにゅうした。 雨がふってきた。 かんとくは、練習ではつかってくれるけど、試合ではつかってくれなかった。 オウンゴールは、それほど大きかった。 きょうの試合もだめだろうと思っていたら、声がかかった。 よし、やってやる。 じしんがあった。 じゅんび運動にも力がはいる。 だけど、足もとのシューズは、ぼろぼろだった。 つま先にあながあき、そこがはがれかけていた。 とても、試合終了まで持ちそうにない。 スパイクの先もすりへっている。 この天気ではすべってしまうだろう。 横においた新しいシューズが目にはいった。 このシューズに神通力はない。 空を見あげた。 雨はやみそうにない。 ――ぼくは、かくごを決めて、新しいシューズを手にとった。     四、 力いっぱいかしわ手をうつ。 さい銭をふんぱつした。 1―0で勝った。 しかも、ぼくのアシストで。 雨はすっかりあがっていた。 石だんをおりようとしたとき、うしろから声が聞こえた。 「どうじゃ、けまりはおもしろかろう」 ふりむいたが、だれもいなかった。 そこにあるのは、石のこま犬と、満開のさくらの木だけだった。 じっと見つめていると、こま犬がわらった。     
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