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「もう、やめるからいいんだ」
ぼくは正直にこたえた。
「ほほーっ。なるほど。そうか、けまりの試合に負けたのじゃな」
あたっている。
ひょっとしたら本物かもしれない。
神さまは、なんだかうれしそうにつづけた。
「けまりがうまくなりたいのであろう? かんたんなことじゃ」
「ほんとに?」
おもわず、口にしてしまった。
「ほんとに? とはなんじゃ! 神さまをうたがうのか? しつれいなやつじゃ。バチをあててくれようか」
「……ごめん……なさい」
とりあえずあやまった。
神さまのまわりの光が強くなったからだ。
どうやら、感情の変化が光にでるらしい。
さわらぬ神にたたりなし、ということわざもある。
「――まあ、しかし、こわっぱのいうことじゃ。今回ばかりは、おおめにみてつかわそう」
きげんがなおったのか、光が弱くなった。
ほっとする。
「ところでそのほう。古来よりこの国では、神さまに力をかりようとするときは、ささげものをする習慣があるのだが、知っておるか?」
ぼくは、めいよばんかい、とばかりに、じしんまんまんでこたえた。
「知ってる! ごはんとか、まんじゅうとか。うちのばあちゃん、線香たいて毎日おがんでるんだ」
「それはちがう宗教じゃ!」
光が強くなった。
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