『サッカーの神さま』

4/7
前へ
/7ページ
次へ
やばい! おこらせてしまった。 「わかりやすくいってやろう。金だ! 古来はちがったのだが、今は、まあ、そういうことだ」 「ああ、おふせのことだね」 「それはちがう宗教だといっておるではないか! さい銭! もしくは玉ぐし料じゃ!」 光がますます強くなった。 ほんとうに、やばい。 ぼくは、あわててサッカーシューズを買ったのこりのお金をポケットからとりだした。 千円だった。 「……ふん。まあ、こわっぱじゃからな。とくべつにサービスしておこう」 神さまは、ちょっとふまんそうだった。 ぼくはおもわず、聞きかえした。 ぼくにとって千円は大金だ。 「さい銭が少ないとだめなの?」 神さまは、むっとした顔でこたえた。 「あたりまえじゃ! 有名大学に合格させろとか。かっこよくて、やさしくて、親と別居してくれる、お金持ちの男の人と結婚させろとかを、千円ぽっちでかなえられるものか」 日本一サッカーがうまくなりたい、と願いごとをするつもりだったぼくはいいかえした。 十万円とか百万円とかいわれても、ぼくに出せるわけがない。 「神さまって、お金なんかに、こだわらないもんだと思ってたんだけど……」     
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

118人が本棚に入れています
本棚に追加