第二章 あなたはなぜここへ?

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家族にはまだ話してなくて、私からきちんと話したいんです。 え?病院じゃない?あなたも医療従事者じゃない? これは失礼を。 じゃあ、失礼ですけど、どなたですか? え?神様? いやいや。 え?見えないかって。 えー。そうですね、あなたみたいな素敵な女性を見て、女神様みたいだと思いましたけど。 私は椅子に腰掛け、相手の女性も白い椅子に腰掛けていた。恐らくは私と同じものだろう。女性は言った。もし、君の余命が限られているというならば、騙されたと思って、運試ししてみないか?と。 神というものはいつだって暇を持て余している。人と同じようには生きられないからね。いつもこの真っ白な部屋から下界を見ているだけ。退屈してるんだ。君の話が興味深かったら、君の余命とやらを少々弄ることもやぶさかではないよ。 まるでアラビアンナイトだ。 私は自称神様とやらに話してみることにした。私のことを。 余命数ヵ月などという急な話ではありません。少なくとも数年は生きられるそうです。薬に耐えられれば、10年だって持つ人もいるとか。元々あった持病が徐々に進行し、抑えるのに強い薬が必要になったのです。夫にはまだ伝えていません。私自身でさえ、まだ実感が湧いていないくらいですから、どう話したものか分からないのです。
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