step 1「人は見た目が9.5割」

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「美宙、あんた朝ごはんは?」 「いらない。時間ない」 二階を行ったり来たりしながら身支度をしている私に、ダイニングテーブルから母が声をかけて来た。 こちらは、私よりずっと早く起きているはずなのにまだパジャマ姿だ。 頭にカーラーをつけたままコーヒーをすすり新聞を読んでいる。いつも通り。 「私今日は夜遅いから。ご飯テキトーに食べてて」 新聞から目を離さないままの業務連絡する母。名は利恵子。 「んー…、じゃあ、じいちゃん誘ってそのへんで食べてくるよ」 そう言って手を出すジェスチャーをすると、利恵子は「しょうがないわね」と言って、テーブルの上にあった長財布を手繰り寄せた。 「やったー、じゃあ焼き鳥行こっかなー」 五千円札を受け取りながら、ガッツポーズ。 「晴(せい)ちゃんのところ?じゃあ、皆によろしくね」 「うん、わかった。 あ、やばっ、もう出ないと! これ、ありがと!」 樋口一葉をひらひらさせ、急いで玄関に向かった。     
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