おもい、そらにとどけ

step 1「人は見た目が9.5割」

「美宙さん器用ですもんね…いつも思いますけどその編み込みしてアップした髪型も毎日自分でやるんですもんね。すごいです…」

「あら…ほんとすごいわね」

突然挿入された声の方を2人で見る。

「知里（ちさと）さん、おはようございます」

「おはよう、美宙ちゃん、ほのかちゃん。

盛り上がってるところ悪いけど、今日10時からミーティングあるから、会議室の準備始めとかないと、間に合わなくなるよ」

「あっ、いけない！

じゃあ美宙さん、また後で。知里さんありがとうございます！」

「よろしくね」

知里さんにペコっと頭を下げ、小走りで部屋をオフィスを出て行った。

改めて知里さんに視線を戻す。

香月知里(かつきちさと)、わがインテリアディレクション部のチーフデザイナーだ。

さらりと肩下まで下ろされたミディアムストレート。アースカラーで統一されたジャケットコーデは、シンプルながらもディテールに遊びごころのあるデザインで、いかにもセンスのある、という出で立ち。

これぞ、洗練された大人な女性……

そして仕事はバリバリ出来て、女性男性関係なく皆に一目置かれている。

それに引き換え……

「牧島さんが、昨日の続きの作業頼みたいから追加指示取りに来てって行ってたわよ」

自分で持って来ればいいのにねぇ、と苦笑いしながら席に着く知里さん。