533人が本棚に入れています
本棚に追加
反対に私はテーブルに手をついて立ち上がった。
「ま、いつものことですよ」
「牧島さん、チェックお願いします」
「お、早いね。さすが」
私がデスク上に置いた今日1日の成果物、提案資料の冊子を手に取り、パラパラとめくり始めたのは私が所属するチームのリーダー牧島さん。
彼がそれに目を通す間、私はじっと立っていた。
「ん、いいんじゃない?
昨日言った分も一緒に直ってるし」
「よかったです。じゃあお疲れ様でした」
「え?もう帰る?」
あっさり席を離れようとする私を、牧島さんが驚いて見上げる。
「え?だって元々予定されていた分と今日の追加分終わったからもう大丈夫ですよね?」
「いや、まあそうなんだけど……」
牧島さんがすぐ横の壁掛け時計を見る。
私もつられてそちらを向いた。
現在時刻、17時19分。
げ、19分も過ぎちゃったじゃないか。
「あ、今OKいただいた資料は、ちゃんと明日の打ち合わせ前に30部揃えて会議室の机の上に置いておきますから。大丈夫です」
「あ……そう」
牧島さんが何かを飲み込んで、こっくりと頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!