step 2「ブラックで何が悪い」

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「あ、そう言えば聞きました?」 ランチから会社に戻り、オフィスへの廊下を歩いていると、ほのかちゃんが思い出したように声を上げた。 「どうしたの?」 さっき、牧島さんあてに、上原さんから連絡があったらしくって、西藤さんのおかえりなさい会企画してくださいって」 「あー、確かに……まだそう言うのやってなかったね」 西藤さんが戻ってきて、もう一カ月以上経つのに、飲み会の一つもなかった。 年度初めはそんなに忙しくないと思われがちだが、お盆周辺で工事をする物件の作業がちょうど本格化する時期で、みんなそれなりに忙しくバタバタしていた。 「おそらく幹事をやれって後で言われると思います」 「オッケー。じゃあ二人でやろう。 まずお店を探したらいいのかな」 「あ、お店はですね、実はもう決まってるみたいで」 ほのかちゃんがスマホをいじりだす。 「そうなの?話題のお店とかに行くのかな。それともクライアントへの付き合いで決まってるとか」 「うーん、そう感じの店じゃなかったと思うんですよね…… 待ってください、さっき転送してもらった上原さんからのメールを……あ、ありました」 ほのかちゃんがメールを表示して、こちらに見せてくれた。 なんか、ものすごく会社から近いみたいで。     
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