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ああ、これかな」
ほのかちゃんが指で画面をスクロールしていく。
「これ、お店の名前です」
ほのかちゃんの指が止まり、私はそれが指す文字に、目が釘付けになった。
ちょ、ちょ、ちょっと待って!!!
声を上げそうになったのを必死にこらえ、でも目は画面に釘付けになった。
そこにあったのは……
『やきとり すぎちゃん』
「いらっしゃーーー………
どうした、美宙……」
私がよっぽど尋常でない空気を出してたんだろう。
「すぎちゃん」の入口で迎えてくれた晴ちゃんは、思いっきり怪訝そうな顔になった。
「せ……晴ちゃん、ちょっといい?」
「お、おう」
腕を引っ張る様に、外に連れてくと、晴ちゃんは戸惑いながらも付いてきてくれた。
「どうしたんだよ」
店の入口脇、藤棚とその下にベンチがひと組ある。
お客さんが満員で待つ場合座っていられる様にと、庭同様に由梨さんが日頃から手入れしている場所だ。
そこの前で立ち止まり、くるりと晴ちゃんに向き直った。
「今週末うちの部署の飲み会がこの店で行われるの、知ってる?」
「へ?
あ、ああ…そういや金曜に大人数の予約あったな……スペックなんとかって会社……あれお前のとこなの?」
「そう、それよ」
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