step 2「ブラックで何が悪い」

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晴ちゃんが青ざめて詰め寄る。 「それが……そのお姉さま、ジャニーズのとあるグループがめちゃくちゃ好きで……、たまたま駅前の時代堂に廃盤になった限定CDがあったから、それをエサにしたらノッてくれちゃって……」 ホッとしたように息を吐く晴ちゃん。 「ああ……確かにあのガラクタ屋、時々とんでもないお宝が何でもないもののように売ってるよな……」 「そうそう、オヤジさん、全く疎いからそういうの」 「まあそれは置いといて。 他にいないのか?お前の住所知ってそうなやつ」 話を戻し、晴ちゃんは首をかしげた。 「本社で面接の時、同席してた上司がいるけど……」 上原さんのことだ。 「めったにこっちの事務所にはこないし、時間もないし、わざわざ周りに教えたりはしないんじゃないかな。よっぽど理由がない限り……」 「ふぅん……」 考え込むように腕を組んで黙り込む。 「晴ちゃん……お願い」 「………」 「ね、お願い。今度なんか奢るから」 「あー、もうわぁーったよ!」 頭をガシガシかきつつ、晴ちゃんが立ち上がった。 「ホント?」 「ああ」 渋々……といった様子で苦笑いしている。 『仕方ねぇな……』って感じなんだろう。 やっぱり晴ちゃんはいつも優しい。     
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