533人が本棚に入れています
本棚に追加
晴ちゃんが青ざめて詰め寄る。
「それが……そのお姉さま、ジャニーズのとあるグループがめちゃくちゃ好きで……、たまたま駅前の時代堂に廃盤になった限定CDがあったから、それをエサにしたらノッてくれちゃって……」
ホッとしたように息を吐く晴ちゃん。
「ああ……確かにあのガラクタ屋、時々とんでもないお宝が何でもないもののように売ってるよな……」
「そうそう、オヤジさん、全く疎いからそういうの」
「まあそれは置いといて。
他にいないのか?お前の住所知ってそうなやつ」
話を戻し、晴ちゃんは首をかしげた。
「本社で面接の時、同席してた上司がいるけど……」
上原さんのことだ。
「めったにこっちの事務所にはこないし、時間もないし、わざわざ周りに教えたりはしないんじゃないかな。よっぽど理由がない限り……」
「ふぅん……」
考え込むように腕を組んで黙り込む。
「晴ちゃん……お願い」
「………」
「ね、お願い。今度なんか奢るから」
「あー、もうわぁーったよ!」
頭をガシガシかきつつ、晴ちゃんが立ち上がった。
「ホント?」
「ああ」
渋々……といった様子で苦笑いしている。
『仕方ねぇな……』って感じなんだろう。
やっぱり晴ちゃんはいつも優しい。
最初のコメントを投稿しよう!