美人スチュワーデスの死

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「いえっ、な、何も! 早く戻りましょうか」  私はそれだけ言い、アツアツの肉まんとあんまんが入った袋を手に持ち、所轄署へ戻る。  すっかり熱くなった。一般家屋の庭にアジサイが惜しげなく、青い色を輝かせながら、咲き誇っている。この時期にピッタリの爽やかな色。 (綺麗な色)  見とれていると、ドン! と誰かの肩とぶつかってしまった。 「あ、すみません」  私は咄嗟に謝った。ぶつかった相手は女性だった。しかも背が高くスタイルがよく……。何かの広告のモデルになりそうな位の、整った容姿。  髪は長く、ピンクの上下のスーツを素敵に着こなしていた。年は私と同じ位だろうか。  彼女のカバンが下へ落ちてしまい、私は慌てた。 「あぁ、ごめんなさい!」
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