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私は咄嗟に、彼女の桜色のポシェットの中からこぼれたものを、拾った。口紅、ポーチ。
可愛らしいクレージュのピンクのハンカチ。そして、ハート型のコインケース。一つ一つが、女性らしいセンスのある小物で、かわいらしかった。
「すみませんねぇ、こいつ、ドジで」
上之原巡査部長も拾うのを手伝って下さった。
「いえ、そんな。こちらこそ、すみません」
ペコリと綺麗に頭を下げたその女性。健気で可愛らしい。こちらが悪いのに……。私は更に罪悪感を感じてしまった。
その女性は急いでいらっしゃったようだ。
「すみません」と何度も頭を下げ、ポシェットを受け取り、走って去ってしまった。
「行っちゃった……」
呆然とする私。
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