美人スチュワーデスの死

10/18
前へ
/192ページ
次へ
 私は咄嗟に、彼女の桜色のポシェットの中からこぼれたものを、拾った。口紅、ポーチ。  可愛らしいクレージュのピンクのハンカチ。そして、ハート型のコインケース。一つ一つが、女性らしいセンスのある小物で、かわいらしかった。 「すみませんねぇ、こいつ、ドジで」  上之原巡査部長も拾うのを手伝って下さった。 「いえ、そんな。こちらこそ、すみません」  ペコリと綺麗に頭を下げたその女性。健気で可愛らしい。こちらが悪いのに……。私は更に罪悪感を感じてしまった。  その女性は急いでいらっしゃったようだ。 「すみません」と何度も頭を下げ、ポシェットを受け取り、走って去ってしまった。 「行っちゃった……」  呆然とする私。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

373人が本棚に入れています
本棚に追加