美人スチュワーデスの死

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 よく周囲を見るとまだまだ、通勤ラッシュは終わってはいない。スーツ姿でみんな、颯爽と歩いて行く。 「何だ? これ」  上之原巡査部長は、何かに気が付いたらしい。道路に落ちている小さな板を拾い上げた。赤い紐がついていた。絵馬だった。後ろに馬の絵が描かれた絵馬。 「何だよ、おい」  頓狂な驚きの声が上之原巡査部長の口から、こぼれる。 「どうしたんですか?」  私は、ひょい。と、髪をかきあげながら除いた。 『神様、私を殺して下さい。野波 奈々』 「えっ……」  短いけれど、恐ろしい言葉に私も彼も、体がフリーズする。 「おいおい、何だよ、不謹慎だなぁ」
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