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 弱々しい声を藤澤さんは、出す。この人は変な所で、気が弱い所がある。頭脳明晰な所やテニスが万能である所は過剰に人に自慢し、人を不快にさせるが、自信がない部分を突かれるとひ弱になる。  そんなところも冷めた理由だった。  そんな私は、上之原巡査部長を好きになった。この人は普段穏やかだが、いざとなったら男らしい。交番勤務の頃は、刑事課が追いかけていたホシを捕まえ、一発逮捕した経験がある。  そんな強さに惹かれた。私はきっと、戦える男が好みなのかもしれない。正義の味方のような。 「うーん、証明してくれる人がないと、ちょっと難しいですね」  私は言う。しかも敬語。  助けてやりたいと思う。警察官として。容疑を晴らしてやりたいが難しいそうだ。
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