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「貴方がやっていないという事を証明するために、我々は貴方に根掘り葉掘り聞かなければなりません。それはよく覚えておいてください」
上之原巡査部長は、キリッとした口調だった。でも、少し優しさも含まれる。これが上岡警部が取調べをしたら、怒鳴ってばかりだろうから。
参考人も委縮してしまう。
「美園さつきさんとお付き合いされたのは、いつですか?」
上之原巡査部長はまた、ズバッと惜しげもなく問う。
「大学卒業して一年目です」
その言葉に私は口には出さなかったが、そうなんだ、と目を丸めた。幸せな時間がこの人にもあった事に安堵を覚える。それなのに何故今頃やり直したいなんて言い出したのだろう?
「三か月前まで数年付き合っていたという事ですか?」
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