美人スチュワーデスの死

2/18
373人が本棚に入れています
本棚に追加
/192ページ
 メイクが崩れていて、お化けのような顔になっていた。そうか。昨日、仮眠する時、メイクを落としていなかった。しまった。  長い髪を束ね、私はメイク落としを持って洗面所へ向かった。慌ててメイクを落とす。 「このままでいいや」  清潔なタオルで顔を拭く。鏡には、程よい二重の瞳。少しだけ丸顔な顔の輪郭と、唇だけは引き締まった唇が視界に入った。 「さて、行く!」  私はダッシュした。池袋の百貨店で購入した、セミダブルのチャコールグレーの上下のパンツスーツ。低めの黒いパンプスで走る。 「なんか知らんが、俺も行くぞ」  上ケ谷巡査部長は別についてこなくていいのに、私の後ろをついてきた。  国鉄の線路の、長い横断歩道を渡る。この時間、この線路も人も混雑する。  通学中の学生さん、OLや会社員。それに車が過る。ここは走ってはいけないだろう、警察官として。走りたいけれど、危ない。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!