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「なぁ、どこに行くかだけでも、教えてくれよ」
興味津々に上ケ谷巡査部長は私に尋ねて来る。
「国鉄の赤羽駅の五番線ホームですよ!」
私はそれだけ説明した。説明するのが面倒だった。黙ってついてくれば分かるのに。
「え? 何? それ」
申し訳ないが、今は答えている暇がない。
周囲には、雑多な小さな一般家屋が視界に入る。
もうすぐ戦後四十年だというのに、この街にはバラック小屋が多い。戦後の雰囲気がどことなく、残っている。そんな戦後の建物は、飲み屋も多い。
そう。赤羽、この街はまさに『飲み屋』の街だ。明治に軍事都市として発展し、軍隊が住み着き、彼らの娯楽の為に沢山の飲み屋が作られた。
軍事都市だった為、戦後この街は焼け野原になった。
戦後の復興のために、赤羽の駅前に一番街商店街が造られ、今に至る。雑多な飲み屋が沢山あり、楽しい。
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