美人スチュワーデスの死

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 色んな思考を巡らせているうちに、国鉄赤羽駅に到着した。人であふれかえっている。通勤時間帯だから仕方がない。  長四角い、少し、年季が入った外観の赤羽駅。改札口は混雑していた。混雑するのは改札口だけではない。勿論、ホームもそうだし、列車の中もそう。  京浜東北線は混みあうので、時間通りに列車が到着した事はない。いつもギュウギュウの満員電車だ。 (戦後列車みたいだなぁ……)  そんな事思うのは、大袈裟だろうか。でもそう思ってしまうのだ。  私は入場券を買い、赤羽駅の構内に入った。そして五番線ホームへ向かう。上之原巡査部長は不思議な顔をしながら、私の後をついて来た。  スタンドを発見。行列が出来ていた。でも、負けない。私は、自分の番が回って来ると「おばさん、肉まんと牛乳ね!」と告げた。 「はいよ。恵ちゃん、いらっしゃい」  白いかっぽう着を着たおばさんは、中村屋の肉まんと牛乳瓶を一つ、渡してくれた。私は二百円を払い、スタンドでほかほかの肉まんを頬張る。
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