ゆめのなかで

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 高峰悠太、高校の頃からの腐れ縁だ。 「こーちゃーん」  子供がするみたく大きな動作でぶんぶんと手を振る。カラッとした笑顔、白い歯がのぞいて、まるで学生の頃から変わっていない。  しかし周囲の群衆は何事かと一斉に注目を集めるはめになり、光一郎はげんなりと肩を落とす。人目も憚らずはしゃいでいる奴を無視するようにそっぽを向く。 「光ちゃん、ひでっ」  高峰の抗議が耳を掠めて胸ポケットにあるスマホが震えた。良い予感はしないながらもスマホを手に取ると画面にはデカデカと高峰の名前がディスプレイされていた。 「なんだ?」  本人には目もくれずに応答すると『光ちゃん、シカトなんてひでーじゃないの?』と陽気な声が滑り込んでくる。  言葉を交わすのは久しぶりなのに、妙に耳に馴染む。懐かしいようなくすぐったい気持ちが沸き起こり、内心焦りながら平常心を装った。 「公衆の面前でお前が馬鹿でかい声を出すからだ。知り合いだと思われたくないからな」 『おいおい、元相棒にそれはないんじゃないの?』  元相棒か。  流石に過去形にしている高峰に、苦笑いが零れた。この馴れ馴れしい悪友は変に控え目になるところがある。相棒を語るには時が経ちすぎたのか、それとも未だに光一郎に引け目を感じているのか。 『光ちゃん、新宿まででしょ? 俺も新宿までタク乗るつもりなんだ。一緒に相乗りしない? こっちおいでよ』  高峰は光一郎の職場を知ってか提案してきた。
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