プラネタリウム

10/16
前へ
/16ページ
次へ
「あずみ、ちょっと」 マミに呼ばれ、廊下へ出た。 「芹澤とあずみ、付き合ってるんだって?」 「う、うん。そうだけど……えっ、私まだマミには言ってなかったよね」 「それなんだけど……。芹澤、学校来るなり武勇伝っていうか……あずみとの事色々喋りだして……」 芹澤くんが? 頭が真っ白になった。動悸が早くなる。湧き上がる疑問に答えが出ない。 「何で……」 「ごめん、あずみ。でも早めに知らせた方がいいと思って」 マミが謝る事なんてない。心配を掛けちゃいけないと思い、必死に涙をこらえた。 もうすぐ先生が来る時間だ。早く教室に戻らないと。頭の片隅でどこか冷静な自分がいるけれど、身体は動かない。 「マミ、ありがと……先行ってて」 マミは戸惑いを隠せない様子を見せながらも、教室へと戻った。 その姿を見送り、私は校舎を飛び出す。 涙が頬を伝って行くのがわかる。先生に呼び止められるも『早退します』と勢いよく告げ、校門を抜け、走った。 流れる景色の中に、遅刻ギリギリにも関わらず、マイペースに歩く一人の男子が視界に入る。 「あずみ!?」 聞き慣れた大きい声。 ――耀太だった。思わず立ち止まる。 「耀太」 「どうしたんだよ」     
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加