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「あずみは昔から星が好きだったよな。小学生の時、夜中抜け出そうとして怒られてたよなぁ?」
「ふふ。よく覚えてるね」
「ちょっとは元気になったか」
「ありがとう。うん。もう大丈夫」
「おぅ」
「実はさ」
噂で色々知られる前に、私は芹澤くんとの事を話した。
耀太は静かに聞いていた。
「しんどくねぇの?このまま芹澤といて」
「わかんないよ。でもせっかく付き合えたんだし、別れるとかは考えられない……」
「ふーん……そうなのか」
「え?」
「いや、何でもねぇ。お前が決めたんならいいけど」
「うん」
乾いた空が広がっている。
公園では、母親と遊ぶ子どもの姿があった。
無邪気なその姿に、癒しと、懐かしさと、せつなさが込み上げてきた。
芹澤くんと、ちゃんと話そう。
※
「大丈夫?」
その夜、マミが鞄を届けてくれた。
「ごめんね。心配掛けちゃって……」
「それは全然いいんだけど、耀太も今日来なかったじゃない?芹澤、疑ってるみたいだったよ」
「疑う?」
「とにかく本人と直接話してみたら」
「うん。そうする」
――疑ってる
その言葉に不安を覚えた。
早く芹澤くんと話がしたい。マミにお礼を告げて、急いでスマホを手に取った。
声を 直に聞きたい。芹澤くんの名前をタップする。
呼び出し音。1……2……3コール目。もどかしい。
「はい」
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