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「何かズレてんだよ俺達。俺、この先お前と付き合える自信なくなった」
「芹澤くんっっ!!」
そこで、通話は途切れた。
涙が堰を切ったように溢れ出す。
そして電話も、LINEもすべて繋がらなくなった。
もう本当に終わりなの――?
苦しい。こんなに苦しくなるくらい好きなのに。
スマホ上に繰り広げられる思い出の数々を幾度もスライドする。
涙に視界を遮られながらも、それを目で追う。
花火、原宿、お台場、ディズニーシー、肩を寄せてフレームに収まる二人、お弁当、オムライス、そして、学校の屋上で撮った振り向きざまの芹澤くんの写真に、電話での言葉が重なる。
この先お前と付き合える自信なくなった――。
ふと席替えのあった9月5日に目が止まる。
『今日は席替えがあった。隣は耀太。芹澤くんとは離れちゃった。』
その文字を見て、再び悲しみに襲われた。
「本当に……離れちゃうの……?」
よろけながらベランダに出て空を見上げる。
光害に侵された東京の空は明るく、星はまばらだ。
芹澤くんが生まれ育った岐阜では今日も満天の星空なのだろうか。
毎日、流れ星が見えると言っていた事を思い出し、指を組み、目を瞑る。
――どうか、芹澤くんとこのまま離れ離れになりませんように。
何度も、何度も、心の中でそう願った。
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