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花火の画像を見ながらキャプションを書き終えて、送信ボタンを押す。秒でスマホの画面に思い出が追加される。
私だけの鍵付きアカウント。
何人かの好きな芸能人をフォローしているだけで、私のフォロワー数はゼロ。
好きなものしか流れない、私だけの空間。
今日の余韻を噛みしめながら、スクロールして過去に遡る。
4月15日――。
今日は転校生が来た。
芹澤明良くん。席は私の隣。
ふふっ、と思わず笑みが零れる。
すごいぶっきらぼうに挨拶してたな、芹澤くん。
正直、最初の印象は怖かった。
でも。朝は必ずおはようって声を掛けてくれるところとか、実はお弁当男子なところとか、雨の時、傘に入れてくれたりとか、芹澤くんの事を知るたびに、少しずつ好きな気持ちが大きくなっていった。
日記代わりのインスタも、気がつくとその内容はほぼ、芹澤くんの事で埋まっていた。
まさか、付き合える事になるなんて、全くの想定外。
「はぁ~……」
幸せなため息が漏れる。
私は芹澤くんの彼女になったんだ――。
※
新学期が始まり、席替えが行われた。
三ヶ月間隣だった芹澤くんとの席は、対角線上に離れてしまい、私は教室の右前方、芹澤くんは、左後方になってしまった。
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