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屋上に吹く風は日に日に冷たさを増している。
「今度どこ行こうか?でも週末雨っぽいんだよね……」
「うん」
思案している最中、芹澤くんは空を仰ぎ見ていた。
「ねぇ、プラネタリウム行かない?」
この間星の話をした事を思い出し、提案する。
「んー……」
反応が悪い。
「え。嫌なの?」
「ごめん。正直興味ない。星なんて腐るほど見てきたからさ、金払ってまで見る気になれないんだよ」
「……そっか、そうだよね。じゃあ、芹澤くんはどこ行きたい?」
すると視線を戻し、口を開いた。
「今決めないとまずい?当日その場で決めるでも良くない?天気も微妙だしさ」
「まぁ、いいけど……」
「思いついたら連絡するよ。俺、用事あるから先行く。じゃあな」
そう言い残して足早に背を向ける。
「待って!」
「何?」
振り返った、その瞬間。
パシャッ!
シャッターの音が鳴り響く。
「芹澤明良、撮った!!」
「なーにやってんだよ」
芹澤くんの白い歯がこぼれた。
11月20日 今までと違う空気を感じた。ふいに『三ヶ月目のジンクス』が頭をよぎった。
今後芹澤くんとはプラネタリウム見れないのかな……。そう思うと少しせつなくなり、三ヶ月目のジンクスなんて言葉を打ってしまった。
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