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「小学生みたいな事するんだな」
「いいでしょ。はい。いただきます」
「いただきます」
食事を終えて片付けが済むと、必然的とも言える流れで、ソファに腰掛ける。
隣に芹澤くんが座ると、その距離の近さに二人きりでいる事を途端に意識してしまう。
合間合間に会話が展開されるも、すぐに話題が尽きてしまい、まだ降り続いていている雨の音と、テレビの音が沈黙を埋めていく。
会話が途切れ、どのくらい時間が経っただろうか。
ふいに芹澤くんの手が、私の手に重なる。
そして一瞬、視線がぶつかった後、芹澤くんの唇が触れた。勢い余って歯も当たる。
「ごめん……」
首を横に振って『大丈夫』の意志表示をすると、一度離れた唇は、二度、三度と吸い付く。
――来るべき時が来た。
私は目を瞑り、身を委ねる。
11月24日 今日は忘れられない一日になった。
帰り際一緒に撮った写真。
その表情は昨日までとは違う二人に見えた。
※
週明け、教室に足を踏み入れると、いつもと違う空気を感じた。
「おはよう」と声を掛けると、挨拶は返ってくるものの、皆どこかよそよそしい。
芹澤くんを見ると、男の子達に囲まれて話をしていた。
その光景に違和感を覚える。
あの輪の中にいる芹澤くんを、何故か遠くに感じた。
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